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* TOI ハイグレ化研究所

日時: 2016/11/29(火) 23:50:53 メンテ
名前: 牙蓮

 はじめまして
  ・初投稿です
  ・小説書くのすら初めてです
  ・最近久々にTOI-Rやり始めて妄想再燃の勢いだけです



 ……と、筆を執ってから早一年が経ちました。以前は読者側から節目を振り返る先人方の話を「どちらも素晴らしい出来なのに謙遜されてるなぁ〜」と実感もなく読んでいましたが、いざ自分の作品で振り返ってみると閉じるボタンを押して一刻も早く去りたい恥ずかしさと格闘する羽目になりました(笑) 文体が定まっていない、状況説明が不十分等々、色々気になってしまうものですね……。
 そんな牙蓮も、皆様に支えられこの一年で総勢20人以上のテイルズキャラをハイグレ洗脳してきました! (まぁ、引き立て役を除いてメインキャラだけにすると11人なんですけどね……)
今後も「ハイグレ×テイルズSS作家」として洗脳を続けていきますので、よろしくお願いします!



 
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* Re: TOI ハイグレ化研究所 ( No.1 )
日時: 2015/11/29(日) 23:40:33 メンテ
名前: 牙蓮

「何だってのよ…」

前世で神だった記憶を持つ少女イリア・アニーミは教団や軍から追われ、王都レグヌムをルカ・ミルダと共に旅立った。
だが逃避行は早々に頓挫しグリゴリ兵によって前世の記憶を保ち転生した者、即ち転生者を収容するための施設である転生者研究所へ連行されてしまった。
2人は研究所の一室に監禁されることとなったが、その部屋には他にも数名の転生者が収容されていた。
彼らとの会話も程々にしていると『適性検査』と称し、部屋の先客であったスパーダ・ベルフォルマを加えた3人は実験場へと場所を移し用意された相手との戦いを強いられた。
対戦相手は転生者ばかりで並の兵士を越える実力を持つ彼らとの戦いは苦戦したものの、協力することで何とか退けることができた。
しかし最後の相手だけは転生者でなく、球体に手足が生えたような褐色の機械兵器だったがそれまでの相手とは格が違った。
桁違いの馬力を誇り、その力は腕を一閃させるだけで衝撃波が起きる程である。
その僅か一撃で3人全員が弾き飛ばされ勝敗はものの一瞬でついてしまった。

後衛のイリアはダメージを負ったものの意識がはっきりしているが、間近で喰らったルカとスパーダは剣で防いだものの防ぎきれず、壁際まで弾き飛ばされ完全に気絶してしまっている。
勝敗が決したと見るや、兵士達が動き出す。
「よし、この分ならこいつらは実戦で使えそうだ
 そして新型の出力も上々だな」
満足気な顔をしたこの男は、この研究所を取り仕切っている軍の高官オズバルドである。
彼は部下に球体兵器の点検を命じるとイリアに近づき問いかけた。
「無理強いはせんがお嬢ちゃん、まだ戦うか?
 もっともこれ以上の手加減は保証出来んがな」
オズバルドだけでなく、周囲を固める兵達も薄ら笑いを浮かべ見つめてくる。
心底腹の立つ仕打ちとはいえ、申し出を受けねば命の危機である。
* Re: TOI ハイグレ化研究所 ( No.2 )
日時: 2015/11/29(日) 23:37:32 メンテ
名前: 牙蓮

倒れている彼らの様子をチラッと確認するとまだ意識が戻る様子もないので、代表して了承するとともに腹いせにちょっと食ってかかることにした。
「ちょっとあんた あの鉄の塊はなんなのよ!」
軍事機密なのだが、と口にしているがオズバルドはすんなりと答え始める。
「あれは我が軍の新兵器、ギガンテスだ
 対転生者を想定して開発された操縦者搭載型兵器である」
つまり、球体状のところに人が乗って操縦していたわけだ。
「奴らを動力に我らの戦果が生まれるのだから、愉快だろう
そしてこの機体は動力に細工して出力アップを図った試作機だ
 貴様らとの戦いでパワーは十分であると実証された
後は耐久性に問題がなければ実戦投入も近いな」
語るままに、ギガンテスを点検する兵達に追加指示を出す。
最新兵器についての知識など辺境の地で育ったイリアにあるはずもなく、その情報は殆ど意味を成さない。

しかし一つだけ聞き捨てならないことがあったので彼女は疑問をぶつける。
「ちょっと、“奴らを動力”ってどういうこと?
 まさかあんたたち転生者を…」
ここが転生者研究所であることを考えれば、自然と想像がつく。
「その通り、ギガンテスの動力源は転生者だ
 本来は転生者4体で起動させる予定だったが、新動力は1体で十分なので改造したのだ
 おい、こいつに動力部を見せてやれ」
オズバルドの指示を受け点検を中断し、操縦者が機体を回転させ後方に積むコンテナをこちらへ向ける。
横長のコンテナには転生者を入れるためであろう、円筒状の大きなカプセルが立てた状態で固定されている。
そのカプセルの中身を見てイリアは驚愕した。
* Re: TOI ハイグレ化研究所 ( No.3 )
日時: 2015/11/29(日) 23:38:24 メンテ
名前: 牙蓮

「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
カプセルの中は衝撃吸収用の液体で満たされており、そこには20代と思しき1人の女性がいた。
女性らしい肉付きの健康的な体をしており、縦ロールにまとめられた青空の色をした髪の毛が印象的な美女である。
首元に紅い宝石を基調とした教会のネックレスをしているところ、教会の関係者なのだろう。
そこからは修道女の様な清楚なイメージが連想されるが、清楚とはかけ離れた格好を彼女はしていた。
彼女が着ているのは修道着やローブの類ではなく、白いハイレグ水着一枚だけ。
その切れ込みは鋭く彼女の恥骨より上に届き、股にかなり食い込んでいる。
サイズも小さいようで豊満な胸を締め上げさらに強調し、体つきが分かる程ボディラインがはっきりしているので裸よりも扇情的である。
そして両足を固定した台座の上で、膝を曲げガニ股姿勢としか言い様のない程股を開き、両手を切れ込みに合わせて激しく上下させている。
手の動きに合わせ上体を反らすので股にハイレグ水着がその度にさらに食い込み、胸は激しく揺れている。
口元が何やら動いているので、先ほどの音声はギガンテスのスピーカーから流された彼女の肉声のようだ。
その声はやや上ずっており、苦痛とは違った感情が含まれていることが伺える。
カプセル内は液体で満たされており動くにくく口を開けると液体が入ると思われるが、一切気にする素振りがない。
両手で自らの股間を強調しつつハイレグ水着を食い込ませる奇妙な行為を疲れなど知らないかの如く何度も、何度も繰り返す。
* Re: TOI ハイグレ化研究所 ( No.4 )
日時: 2015/11/29(日) 23:40:56 メンテ
名前: 牙蓮

目を疑いたくなる光景にイリアは言葉を失った。
同じ女性として扇情的な格好への恥じらい、下品な行為への嫌悪感、転生者の尊厳を無視し物として扱う軍への怒り、様々な感情がこみ上げてくる。
それらの負の感情とは別に何か違和感が心の奥にあるのだが、イリアにはそれが何なのか分からないし考える余裕もなかった。
表面的な感情は止まらずカプセル内の女性を淫らな晒し者と変えた者に問い詰める。
「あんた達あの人に何したのよ!」
「何、動力として最も効率のいい状態へ変えただけだ
以前はただ眠らせて収容していたのだが、こうすることで出力が格段に上がったのだ
 貴様はこれを知らないのか、これは天上界で神の力を高める舞として行われていたものだ
 聞いたことないか、“ハイグレ”をな」
ハイグレ、オズバルドの一言にイリアの心が揺れる。
初めて聞く言葉の筈なのに、何を指すのかが分かる。
自分にとってその行為が何か重要な意味を持つことが分かる。
心で唱えるとさっきまでの嫌悪感とは違う感情がこみ上げてくる。
あぁ、そうかあたし確か…

「何か思い出したようだな」
オズバルドの言葉にハッと我に返る。
先程までの勢いが急になくなり動揺していることは明らかだ。
顔色も火照った様なものに変わり怒りはすっかりなりを潜めてしまった。
「ハイグレに聞き覚えがあるなら大丈夫そうだ
 貴様にもハイグレ人間となってもらう」
「ハイグレ人間!?
 何よそれ、誰がなる、もん、ですか… あたしは…」
断りたいはずが、語尾か尻すぼみに消えてしまう。
いつの間にかモジモジと股をすり合わせているのだから一層説得力がない。
「我にハイグレを見せてみよ、イナンナッ!」
オズバルドの口調が別人の如く変化する。
しかしイリアには寧ろ、聞き覚えある口調だった。
「あ、あんたも転s…キャアアアァッ!!」
* Re: TOI ハイグレ化研究所 ( No.5 )
日時: 2015/11/29(日) 23:41:56 メンテ
名前: 牙蓮

口を開くと同時に、突然オズバルドに撃たれた。
とはいえ、その手に握られている銃はイリアが愛用するような火器でなく、まるで子供のおもちゃの様な外観のとても殺傷能力があるとは思えないものだ。
銃口部分から放たれたものも弾丸でなく赤色の光線でありその仕組みはとてもこの世界のものとは思えない。
光線が命中するとイリアは堪らす飛び上がり、手足を大の字に開く。
自分を包む光が赤や水色に点滅する中、衣服が、首に巻くスカーフが、そして腰の銃までもが徐々に消えていくのが見える。
対照的にこれまで経験にない締め付けを感じる。
見なくても分かる。
股に食い込み快感を与えるこれは、あのハイレグ水着だ!
(服、消えるんじゃないわよ!)
イリアの願いも虚しく点滅が終わる頃には元の衣装は完全に消え、身に纏うものは彼女の髪の色と同じ濃赤のハイレグ水着一枚だけだった。

「クッ、何なのよ」
体の自由がまるで効かない。
それだけでなく、体が勝手に動く。
(勝手に腰を落としてる
 まさか、あのポーズを取らせる気じゃないでしょうね)
ハイグレポーズを取りたくない一心でイリアは抵抗する。
しかしその甲斐無く自由の効かない足はガニ股に開き準備に入る。
足を開くとハイレグが更に食い込みその快感に思考を乱される。
それでも必死に意志の力で股の前に添えられる腕を押し戻そうとする。
幾ばくか動きが緩慢になったものの、今度はプルプルと震える腕の振動が伝わり股間の食い込みが更なる快感を与える。
(いやっ、こんなので感じたくない)
イリアにとっては何時間にも感じられる必死の抵抗だったが徐々に食い込みの快感に押され、遂に腕をハイレグラインに沿って振り上げハイグレポーズを決める。

「ハイグレッ!」
口も勝手に動き、ハイグレポーズに華を添える。
その瞬間、体中に電気が走った。
今までにない快楽にもはや抗う術はなかった。
「ハイグレッ!」
全身を駆け巡る快感と共に、前世の記憶が呼び覚まされる。
「ハイグレッ!」
(そうだあたし、イナンナはいつも戦に向かうアスラのためにハイグレしてたっけ)
「ハイグレッ!」
(自分も幸せに満たされながら、ハイグレを)
「ハイグレッ!」
(こんなの思い出したら、あたし、もう…)
次のハイグレをした時はもう、イリアの意識は薄れていた。
* Re: TOI ハイグレ化研究所 ( No.6 )
日時: 2015/11/29(日) 23:42:32 メンテ
名前: 牙蓮

「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
ハイグレ人間イリア・アニーミは一心不乱にハイグレしている。
もっと気持ちよく、もっと見せつけるように、ただそれだけを考えハイグレを繰り返す。
「ハハッ、流石イナンナだ
 ここまで上手くハイグレ化できたのは転生後はじめてだぞ」
すっかりハイグレの虜となったイリアを満足気に眺めるオズバルド。
そんな彼にギガンテスの点検をしていた部下が異常なしと報告する。
「よし、では格納庫で本格的な整備に入れ
 くれぐれも動力に余計なことはするなよ?
 大事な成功例だ、後で俺が直接やる」
敬礼と共に念を押された点検部隊が下がると、この試験場を管理する兵士が続けざまに指示を仰ぐ。
「検体の2名は如何しますか?」
「そうだな、転生者相手には相当戦えたのだ
 あの2匹は西の戦場へ送るよう、グリゴリどもに準備させろ
 貴様もそれでいいな?」
「ハイグレッ! ハイグレッ! ……はい、もちろんです」
選択権はないが敢えて決断の是非をイリアに問うと、彼女は慌ててハイグレを止めて即答した。
先程まで協力して戦っていた仲間のとは思えない、冷徹な返事だ。
今の彼女には興味のない問題なのだ。
彼女の返事に満足すると、グリゴリ兵に指示しルカとスパーダを運ばせる。
戦場へと送られる彼らには一切目もくれず、オズバルドだけを見てイリアは問う。
「私は如何いたしましょうか?」
「貴様程忠実なハイグレ人間はこの世界では初めて出来た貴重品だ
 私の奴隷として付いてこい!」
「ハイグレッ!」
奴隷という言葉にも一切反論せずただハイグレをして了解の意思を示す。
完全にハイグレの下僕と成り果てたのだ。
そんな彼女を引き連れ、2人は出口へと向かう。
「貴様には初仕事をしてもらう
 教団に入信すると言っていたチトセとかいう娘、ヤツも貴様に劣らぬ高い素質を感じる
 教団にくれてやるなんて惜しい、それまでにハイグレ化を完了する
 ハイグレ化に手を貸せ」
「ハイグレッ!
 ハイグレ化のお手伝いが出来るとは、楽しみで仕方ありません
 チトセ、早く会いたいわね、フフフフフ…」
不敵な笑みを浮かべ、イリアは付いて行く。
初対面にも関わらずチトセを嫌っていたことは今のイリアにもう関係なく、ただ共にハイグレする姿を思い浮かべるのみだった。
(あぁ、チトセには何色のハイグレを着せようかしら)

その後、“人間イリア”の行方を知る者は、誰もいなかった…
* Re: TOI ハイグレ化研究所 ( No.7 )
日時: 2016/11/29(火) 23:51:46 メンテ
名前: 牙蓮






   溺れる聖女





* Re: TOI ハイグレ化研究所 ( No.8 )
日時: 2016/11/30(水) 00:07:38 メンテ
名前: 牙蓮

    キンッ――

 金属のぶつかる鋭い音が、薄暗い部屋に響き渡る。六方を窓一つない灰色の壁で囲まれ、出入り口を塞ぐ兵士達の軍服に乱れは一切見られない。まさに、脱出不能という事実を無言で訴えかけるこの“実験場”で、アンジュ・セレーナは強いられた戦いに身を投じていた。

  「ハァァッ!!」

    ガゴッ

 迫る大剣を躱した直後、目の前の石畳が鈍い音と共に穿たれる。すぐさま構え直された異形の黒剣は輝きを絶やしておらず、堅牢な岩を砕いたとはとても思えない。そして、剣と同じ黒鎧で全身を固めた転生者は息つく暇もなく、続けざまにアンジュへ斬りかかってくる。

  「ハァッ、フンッ!」

 上空から何度も襲い来る、横殴りの斬撃。完全覚醒した元ラティオ兵の、翼を活かした猛攻にアンジュはどんどん押し込まれていく。だが……。

    ――今っ!

 ただ闇雲に、防御に徹していたのではない。伺っていた機会がようやく訪れ、ナイフをギュッと握り直してタイミングを計る。

  「このっ、裏切りも――なっ!?」

 痺れを切らし繰り出された大上段からの一撃に対して、アンジュは果敢に飛び込んでいった。脳裏に焼き付いた軍略に従って、強烈ながら単調な攻撃を掻い潜り、敵の懐へ潜り込む。そして、たかが修道女と侮っていた相手のがら空きになった胴へ向けて、本能のままに腕を振るう――!

  「牙連刃!」

 右へ左へ、素早い短剣捌きがラティオ兵を捉える。一転して押し返されたかつての神は地に堕とされ、固い鎧へ幾本もの紅い筋が刻まれていく。
立て直す間も与えず、アンジュの連撃はどんどん加速していき、その刃に流星を思わせる輝きを集わせ――。

  「牙連、光波――ッ!?」

 天術の宿ったナイフに装甲を破られたラティオ兵へ向けて、とどめの波動が放たれる。……それで勝負は決するはずだったのだが、溢れんばかりの光が彼女の手を離れることはなかった。
 最後の一振りを目前に、時が止まったかのように突然固まってしまったアンジュ。その目は大きく見開かれ、迷いなく振るっていた腕も今は小刻みに震えている。

  「――あぁっ!?」

 そして、この間が相手にとって絶好の“機会”となってしまった。地を這う斬り上げをまともに受けたアンジュの体が、呆気なく飛ばされる。

  「これで、終わりだぁっ!」
  「…………」

 荒々しい足音を立ててラティオ兵が猛然と突っ込んできても、アンジュは顔を上げることすらできない。石畳の隙間を血管のように鮮血が駆ける中、なす術のない彼女の頭上に終焉の刃が容赦なく振り下ろされる――。






  「そこまでだ!」
  「――――ッ!!」

 その瞬間、一段高くなった端の壇上から有無を言わさぬ命が飛んできて、必殺の一撃は間一髪のところで止められた。

  「貴様ら、中々有意義なものを見せてもらったぞ」

 パチパチと気だるそうに手を叩きながら、隻眼の大男が前へ出る。歩く度に上下する、肥満という言葉すら控えめに聞こえる大きく突き出した腹部。襟飾りのついた軍服に身を包んだ王都軍の高官、オズバルドは家畜の品定めをするかのような視線を二人に送った。

  「はっ、ありがとうございます!」

 そんな彼に、ラティオ兵は迷うことなく頭を下げる。いや、今の彼はもうラティオ兵ではない。尾や翼はいつの間にか消え、黒の甲冑までもが紅が混じった軍服へと姿を変えている。人間の姿へ戻った転生者はアンジュに目もくれることなく、王都軍の軍人としてただ上官の言葉を静かに待つ。

  「完全覚醒を果たし申し分ない戦闘能力を示した貴様には合格点を与え、激戦区である西の戦場へ送ってやろう。その力で、忌々しいガラム兵共を蹴散らしてみせろ!」
  「はっ! 必ずや、ご期待に応えてみせます!」

 気合いの籠った敬礼で応えると、王都兵はすぐさま駆けていく。それに合わせて、場内に立つ見張りの兵士達も一斉に敬礼を送り彼の花道を飾る。






  「オズバルド様、ところで――」

 一方、頃合いを見計らった兵士の一人が壇上からそっと近寄りオズバルドに耳打ちする。

  「あの転生者はいかがしますか? 能力的には優秀なのですが、実戦となるといつもこの有様でして……」
  「ふん、どうせ『異能者』と罵られでもしたトラウマだろう。そのような雑兵に用はないし、そもそも奴は聖職者だ。転生者とはいえ神官を戦場に立たせたとでも新聞に書かれれば、我が軍への批判が起こらんとも限らんからな。なに、奴には別の使い道を用意してある……」

    ――バタンッ

 勝者は去り、主役はアンジュへと移っていく。

  「おい、こちらを向け!」
  「…………」

 声に釣られ、アンジュはゆっくりと首を上げる。負った傷はもうヒールで癒したものの、まだ震えの止まらない瞳で言い返す。

  「私に何を、させるつもり……?」
  「なに、簡単なことだ。完全覚醒に程遠い段階でそれだけの力を持つ貴様なら、問題なくこなせることができる」

 促されるまま、立ち上がるアンジュ。今や部屋中の視線が彼女へ集まっていた。

  「そう構えるな、もう戦わせはしない。だが……」

 そう言われても、無理矢理連行した相手を信じられるはずがなかった。とはいえ今できることは、いかにもという形で背に回されるオズバルドの右手に注意を払うことだけ……。

  「貴様には、舞ってもらうがなっ!」
  「えっ?」

 威勢よく取り出されたのは、銀色の銃。これまで戦場と無縁で、銃は書物の中の存在でしかなかったアンジュでも虚を突かれるほど、その銃は独特な形をしていた。
 黒くてごつごつとしたこの世界の銃とは似ても似つかない、まるでその形のまま誕生したかのような繋ぎ目のないフォルム。そして銃口に当たる部分には、これまた見たことない丸い宝石が取り付けられていて――。

  「いいえ、私はこれをどこかで……? まさか、あなたも転せ――」

 質問する間は、用意されなかった。向けたそのままに躊躇いなく引き金を引かれ、桃色の光線が真っすぐにアンジュへ襲いかかる。

  「きゃあああぁぁっ!」




* Re: TOI ハイグレ化研究所 ( No.9 )
日時: 2016/11/30(水) 00:08:36 メンテ
名前: 牙蓮

 視界が一面、激しい光で埋め尽くされる。バチバチと点滅する勢いに押されて思わず目を瞑り、必死に叫んだものの――、

  「ぁぁぁ――って、あれ?」

 はたと気付いて、小首を傾げた。いつの間にか光は収まっていて、この数秒のことが幻のように思えてくる。とりあえず何も起こらなくてほっと胸を撫で下ろすアンジュだったが、対面する人物から奇妙なことを告げられた。

  「ふむ、よく似合っているではないか」
  「えっ、何がです――」

 似合っている? その不思議な言葉に釣られて何気なく視線を落としてみると……、

  「きゃあああぁぁっ!」

 再び、盛大な悲鳴を上げる。信じられない光景に、安堵しかけた心は再びぐらぐらと揺さぶられていく。
 さっきまで確かに着ていたはずの、体型を隠す白のローブがどこにも見当たらない。色白な腕も、すらりと伸びた脚も今は剥き出しになっていて、体を包んでいるのは真っ黒なハイレグ水着一枚のみ。ボディラインを包み隠さずに暴き出す独特な布地に加えて、股間をえげつない角度で見せびらかす足刳りに思わず太腿を擦り合わせる。
 胸元にかけたネックレスを唯一残して、真反対に変わってしまった服装。動転したアンジュは咄嗟に、一番見られたくない部分を両手で隠してから辺りを見回した。

  「えっ、えぇっ!? 何で? 一体どうなってるのっ!?」

    ブルンッ、ブルンッ

 勢いよく体を捩るその動きに合わせて、豊かな胸が上下左右に乱舞する。辛うじて自制していたものの、その艶めかしい光景に部屋中から熱気の籠った息遣いが伝わってくる。

  「ハハハッ、乳や割れ目よりも腹を隠すのかっ。悔しければダイエットでもしてみることだな」
  「あっ、あなたにだけは言われたくありません!」

 頬を朱に染めながら、キッとオズバルドを睨むアンジュ。これまでの鬱憤も混じった、ありったけの怒りが彼に向けられる。

  「それよりっ! 早く私の服を返してください!」
  「それはできんな。言っただろう、貴様には舞ってもらうと。折角ハイグレを着せてやったのだから、早く始めんか」
  「始めるって、一体何をです?」

 器用に腹を覆ったまま右手を顎へ当てて、考えるポーズを見せる。

  「さっきから話の流れが全然見えません。もう少しちゃんと説明していただかないと――」

    ペタッ、ペタッ

 詰め寄ろうと踏み出したところ、素足で触れた石畳の冷たさに驚きまたすぐに止まってしまう。

  「ふむ、歩くこともできてしまうのか……」
  「オ、オズバルド様?」

 不安げに問う王都兵に向けて、オズバルドは軽く手を挙げ応えた。

  「あぁ、大丈夫だ。こんな時は――」

    カチッ

  「もう一度撃ち込んでみるまでだ!」
  「きゃあああぁぁっ!」

 再び発射された光線を浴びて、アンジュは大の字に体を開いて飛び上がる。

  「ぁぁぁ――。もうっ、あなた方は何がしたいんですか!」

 二度目の照射ということもあって幾分か慣れたアンジュは、拳を握り抗議する。しかしその余裕も、我が身を振り返った途端に脆くも崩れ去ってしまった。

  「……って、嫌、イヤ、否、IYA、いやぁーーーッ!!
   何で、どうしてよりによって白なんです!? これだと乳首とか、そのっ、収容されてから処理できてない下の――とか、色々透けちゃうじゃないですかっ!!」
  「ぶははっ、言うものだなシスター! だが、そのような無粋なことを気にする必要はない」

 食い入るようにその三点へ視線を送る兵士と違って、オズバルドは只々豪快に笑い飛ばす。

  「心置きなくハイグレできるように、その手の着心地もしっかり整えられておる。
それより、いつまで突っ立っているのだ。着せ替えまでしても尚、貴様は何も思い出さんのか?」
  「着せ替えたって、同じ水着じゃないですか! こんな破廉恥な水着も、その『ハイグレ』というものも、私、は……」

 あれ……? 何度耳にしてもこれまで何も感じなかったのに、いざ口にしてみると妙な引っ掛かりが残る。

  「この感じ、記憶の場に触れた時と同じ……。じゃあ、この水着は本当に天上界のもの……?」

 思案を始めたアンジュの体を、水着がキュウッと締め上げる。シェイプアップされるような心地良い感覚に思わず身を任せてしまい、彼女の意識は白昼夢の中へと飛ばされていく――。






  「――――我らの理想をかなえるのだ!」

 満天の星空に、檄を飛ばす猛々しい声が響き渡る。見慣れない植物に覆われた大地に並ぶ、人ならざる諸将達。その一員として立つアンジュ、――いや、オリフィエルの前で、大剣を掲げる黒き魔神は崖下へ集う軍勢に決戦の命を下した。

  「全軍! 突撃ぃぃッ!」
  『うおぉぉぉッ!』

 鬨の声を上げ、白き翼で一斉に飛び立つ神兵達。ラティオの本拠である天空城へと進軍を始めたセンサス軍に満足し、自らも前線に加わろうと踏み出したアスラの下へ二人の女神がそっと歩んでいく。

  「アスラ、どうか無事で……」
  「ご武運を、お祈りいたします」

 常にアスラの側に寄り添ってきた豊穣の女神イナンナに、アスラの副官として献身的に仕えてきた花の女神サクヤ。天上の誰もが知る二人から送られた激励に、アスラも力強く答える。

  「案ずるな。お前達の支えがある限り、我が軍は決して負けん!」

 その表現は、安心させるための方便などではない。補助天術と似た効力を持つ彼女達の声援によって底上げされている側面が、センサス軍には確かにあった。

  「お任せください! 戦線は私が必ずや、推し進めてみせます」

 力説するサクヤが前屈みになると艶やかな黒髪のベールが開き、白百合のような素肌が露わになる。
 軍人とは思えない滑らかな肌を唯一覆う、黒のハイレグ水着。白と黒が生み出すそのコントラストは普段の着物とは違った妖しい美しさを描き出している。そして、細くなった布地がキュッ、キュッと可愛らしい穴に引っ張られる様は、彼女の決意の表れでもあった。

  「ええ。後ろはサクヤやオリフィエルに任せて、あなたはただ前だけを見て覇道を進んでください。私が、あなたのためだけに舞って、お助けしますので……」

 吐息のようでありながらよく通る声で宣言し、豊満なお尻を左右に振るイナンナ。純白の水着から溢れんばかりのその柔肌はほんのりと朱に染まっていて、見る者の視線を掴んで離さない。

  「では、行ってくる。次は天空城で会おうぞ!」
  「はい!」
  「はいっ!」

 生身で崖を一気に駆け下りて、アスラは戦場へと去っていく。その様子を見つめる女神達は我先にと膝を曲げて、お尻を嬉しそうに突き出して、そして……。

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
       プリンッ、  プリンッ、  プリンッ――

 桃色の淡い光を放ちながら、両手を体の前で動かし続ける。ほぼ丸出しのお尻をセンサスの諸将に向けて恥ずかしげもなく振るその姿は戦場で、――いや、女性が人前で見せるべきでないものであるが、嬉々とした彼女達が魅惑の舞をやめる素振りはない。

  『ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! ――――』

 続々と繰り広げられていく、艶めかしい声援。その光景をオリフィエルは指揮も忘れて、輪廻に還りそうな思いでひたすら魅入っていた……。






  「――――ッ! ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
  「おおっ、ようやく始めおったか」

 そのオズバルドの一言で、曖昧だった意識が徐々にアンジュの体に戻ってくる。

  「ハイグレッ! ハイグ――って、ええぇっ!?」

 驚くしかなかった。男の視線しかないこの場所で、ずっと隠してきた水着姿を自ら晒してしまっているばかりか、がに股というあられもない姿勢で体の隅々まで見せつけていた。極めつけに、巻き込まれて糸のように細くなった股布へ注目してくださいと言わんばかりに、「ハイグレ」の掛け声に合わせて足刳りのラインを両手で強調する動きを繰り返す。

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイ――ッ、
   なん、でぇ……ッ。体、がぁっ、止まら、ないっ――、ハイグレッ!」
  「簡単なことだ。貴様の体が、ハイグレを求めているだけのこと」
  「ちが、いますっ! ――ハイグレッ!
   わた、っしは、そんなっ、変態じゃ、ありま――ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」

 覚束ない口調での抵抗すらままならないほど熱心に、股間を擦り続ける。その様子で確信を持てたのかオズバルドはもう無駄口を叩かずに、壇上で待機する兵士へ合図を出した。

  「よし、蓋を開けろ」
  「はっ!」

    ガゴンッ

 重たい金属音の後、アンジュを異変が襲う。

  「――ッ! ゆ、床がっ、ハイグ――」

    バシャアァァンッ

 突然、足下に開いた大きな穴。何が起きたのか理解できないのに、ハイグレポーズだけは崩さない無様な姿を残してアンジュは実験場から姿を消すこととなった……。





* Re: TOI ハイグレ化研究所 ( No.10 )
日時: 2016/11/29(火) 23:56:15 メンテ
名前: 牙蓮


    バシャアァァンッ

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (み、水っ!?)

 とろっとした生温かいものが足先に触れ、アンジュは戦慄する。

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (とにかく、上がらないと!)

 必死に少し上に見える床を掴もうとするものの、腕は上がってくれない。代わりに足をばたつかせ何とか浮こうとしても、蛙のように大きく開いたままではぴょこぴょこと気持ちばかりに掻ける程度。

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」

 こんな非常時でも相変わらずハイグレポーズを繰り返す体。自らの重みによってあっという間に、頭まで完全に浸かりきってしまった。

    ――――バタンッ

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (がっ……。助けっ、溺れ、ちゃ――)

 直後、唯一の出口が塞がれ水中に閉じ込められたばかりか、設備が一切ない床下という暗闇がアンジュを包み込む。
 もう、これで終わりなの……? 全てを遮断されて追い込まれ、自然と心に絶望感が広がっていく。

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (でも、これでもう、あんな目にあうことも……)

  「ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (信者や街の人に蔑まれることも……)

  「ハイグレッ!」
   (傷つくことも……)

  「ハイグレッ!」
   (………………)

  「ハイグレッ!」
   (…………)

  「ハイグレッ!」
   (……)



   (………………ん?)

 おかしい……。一拍置いて、思考を巡らせる。皮肉にも、諦めがついたことでアンジュは冷静さを取り戻すことができていた。

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (何で、私は窒息しないの?
    それに、今もこうして『ハイグレ』と喋っているし、聞くことも……)

 確かに、自分の熱っぽい声が音として伝わってくるし、足刳りを擦り上げる度に起こる水流も感じられる。空気よりずっと質量のあるものが絶えず口元を行き来していることすらも意識しないと気付けないほど、この環境に適応していた。

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (なんだか、魚になったみたいね)

 泳ぎ回るその姿を思い浮かべるとふと、サバ味噌の味が恋しくなる。我ながら呑気だなと思うけれど、置かれた状況は依然として厳しいまま。一応身の危険はなさそうとはいえ、これからどうしようか考えていると――、






  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (あれ、何かしら?)

 前方に、小さな光が見える。何度か瞬いて見直しても、ぼやぼやと揺らぐばかりで消えることはない。
 あぁ、遂に幻覚まで……。自嘲気味に落ち込むアンジュだったが、その姿は更に変化していく。

  「…………、……ジュ、アンジュ」

 光の中から、声が聞こえる。一体何なのか、不安な思いで見つめていると今度は円形の輪郭が崩れて、人型の何かが浮かび上がってきた。

  「アンジュ……、見えておられるか?」
  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (この声は……!)

 その姿が、徐々にはっきりしてくる。鶯色のローブを纏い、歩くたびに銀色の癖っ毛を躍らせる影。フェードアウトした光と入れ替わりに現れた、モノクルの似合う神とアンジュは向き合っていた。

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (やっぱり、オリフィエルさんなのですね)
  「いかにも。お久しぶりですな」

 アンジュが心の中で念じた言葉に、オリフィエルはごく自然と答える。元々、対面しているのは自分の前世の姿。この程度のこと、今更驚くまでもなかった。

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (オリフィエルさん、私は今――)
  「素晴らしいっ!」
  「ハイグレッ!? ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (ッ!!?)

 突然上げた大声に、アンジュは驚きを隠せない。一方オリフィエルは堰を切ったかのように、熱く語り出していた。

  「脚長効果でより際立った脚線美に、『御寄進』で鍛え上げられた素早い手捌き。そして、清楚なあなたにぴったり、――いえ、ぴっちりの白いハイグレ! 非の打ち所のない至高のハイグレポーズ、感嘆の思いですぞ」
  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (あ、あの……)

 何が始まったのか、ついていけないアンジュに目もくれず、オリフィエルは饒舌にまくし立てる。

  「とはいえ、最初の黒ハイグレも似合っておりましたぞ。肉付きのよさを残しながらすらりと見える絶妙な色気に加え、あなたの人間的な魅力に溢れた内面を見事に描き出していた。肌との濃淡が最もはっきりと表れる黒ハイグレでのハイグレポーズも目にしたいところでしたが、やはり女体の陰影が浮き立つ白も捨て難い……。
   ところで背に目を向けると、剥き出しの果実と実に色合いの合う――」
  「ハイグレェッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (オリフィエルさんっ!)

 次第に背中がムズムズしてきて、思わず心に荒波を立ててしまうアンジュ。しかし、その煽りを受けてようやくオリフィエルの勢いは止まることとなった。

  「いやはや……、失礼いたしました。輪廻の先でこのような光景が見れた嬉しさについ、我を忘れてしまいました」
  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (ではやはり、この『舞』は天上に起因するものなのですね?)
  「その通りです。ごく簡素なものでありながら、我らの力を限界以上に高めてくれる。センサスの切り札と言っていい、最強の後援でした」
  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (は、はぁ……)

 この、破廉恥な舞が……? 俄かには信じられなかったけれど、オリフィエルを信頼して黙って耳を傾け続ける。

  「私もセンサスに下り初めて目にした際は驚きました。しかしそれと同時に、大きな衝撃を受けたのです! 裸体とは異なるハイグレによって作り出された女体の輝きに、簡素故に飾らず女神達の美しさを表現する、この舞にっ! その姿に魅了され、私は――」
  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (フフッ……)
  「ッ……!!」

 柔らかな笑みが場に漂い、オリフィエルはゆっくりと首を振る。

  「やれやれ、同じ轍を踏んでしまうとは……。愚の骨頂ですな」
  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (そんな事ありませんよ。いつも冷静沈着なあなたの意外な一面が見れて、私も結構楽しんでるんですよ)
  「ふむ、それが本当にあなたの本心なのですかな? まあ、よいでしょう……」

 一つ咳払いをして、二人はゆっくりと視線を交わす。

  「私はあの日以来、いつか私自身も女神となりハイグレポーズを取ってみたいと願っておりました。あなたのハイグレは、天上の女神達にも劣らない。我が望みを叶えてくれてありがとう、アンジュ」
  「ハイグレッ!! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (もったいないお言葉です! 私の信仰心は、あなたの記憶に残る天上の光景に心引かれたことこそが起源ですから……。また一つ天上を知ることができて、こちらこそ感謝申し上げます)
  「フフッ、本当に謙虚なのですね」

 満ち足りた笑みを浮かべ、オリフィエルの姿が薄らいでいく。

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (あら、もうお別れですか?)
  「ええ、今回のところは。ですが、ご安心なされよ。私は常に、あなたと共にあるのですから、ね……」
  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (はい。さようなら、オリフィエルさん……)




* Re: TOI ハイグレ化研究所 ( No.11 )
日時: 2016/11/29(火) 23:56:45 メンテ
名前: 牙蓮

 こうしてオリフィエルの姿は闇に溶け込みアンジュは独り取り残されたが、その表情にはもう憂いの色はない。

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (私が嫌がってた水着も踊りも天上では神聖な舞で、オリフィエルさんの祈りでもあったなんて。何だか申し訳ないな……)

 まるで瞑想した後のように、とても穏やかな気持ちだった。真実を知った今、アンジュの中ではある想いが芽生えてくる……。



  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (私も、やってみようかな……)



 体はずっと繰り返しているとはいえ、意識外で強制された動きに意味はない。前世の自分が大切にした想いを胸に、アンジュはそっとその言葉を唱えてみる。

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   (ハイグレッ! ハイグレッ! ハイィッ――)

 腕に意識を集め自らの意志で振り上げた瞬間、何かが全身を駆け巡った。それはまるで前世の記憶を取り戻した時を思い起こさせるような衝撃であり、アンジュの価値観をがらりと変えていく。

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
   ( なにっ、   これぇ……。 すごく、   気持ちいっ――)

 イナンナのように頬を染め、サクヤのように菊門を閉めて、アンジュは想いを繋ぐ――!

  「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! ――――」
  (ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! ――――)

 オリフィエルの想いが、本当の意味で成就された。ここがどこか、自分がどうなっているのかすら忘れて、アンジュはただハイグレにのめり込んでいく……。






    プシュゥゥゥ――

 実験場の床に再び亀裂が走り、大きなカプセルがせり上がってくる。

  「――――ッ! ――――ッ! ――――ッ!」

 その根元からは何本もの配線が伸び、中は泡すら立たないほど隙間なく液体で満たされている。仕立て上げられた装置の中でアンジュはただ黙々と、誰の目も気にすることなくハイグレポーズを繰り返していた。

  「オズバルド様っ。こ、これまでにない数値が電池から――!」
  「おお、ようやく成功したか」

    コツ、コツ、コツ……

 自らカプセルの下に歩み寄り、中心で発電を続ける“燃料”を見上げる。

  「転生者を安定させるため胎内を模したはいいが、ハイグレ人間までみな眠りこけてしまっていたからな……。一体、こいつの何がよかったのだ? これまで一発洗脳だった痴女共と違い、何か暗示となるような記憶が――」
  「そ、それで……。この検体はいかがしますか?」

 部下の質問で、オズバルドは考察の迷宮から引き戻された。別人のように無表情だったその顔も瞬く間に移ろい、いつもの傲慢な笑みに取って代わられる。

  「待ちに待った検体だ。当然、実用試験を始めるに決まっているだろう! どうせ経過はグリゴリ共に記録させておるのだから、複製の検証は後回しだ。おい――」

 そして、ビシッと門番の兵を指して言い放った。



  「搭載予定の機体を――、『ギガンテス‐H型』を持ってこいッ!!」






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